Holisitic Healing(短期療法)

D 退行催眠
~過去を深く思い出す~

1.退行催眠とは

退行催眠とは、どんどんと過去にさかのぼり過去の体験を深く思い出しイメージすることです。
そのため、ただ年齢を退行していくだけのものもあれば、前世まで遡るオカルト的なものまで含めて退行催眠といいます。
催眠状態で行うものですが、過去のことをイメージするというもので、「暗示にかかりトランスする」というものではありません。
また、一般的な催眠療法ではトラウマのあったことを思い出したりする場合もありますが、ネガティブな体験を思い出し気分が悪くなったりする人が多くなるため、好ましいものとはいえません。

逆に催眠状態中は、ポジティブなことをイメージするほうが自律神経に好ましい状態を与えるため、トラウマ体験は思い出さないほうが精神状態によい影響を与えます。
ポジティブなイメージならなんでもよいのですが、過去の感受性が強かった子供時代に戻り、おいしいものを食べた時や、初めての体験で感動したことを思い出すと効果的です。

漠然と過去を振りかえってもあまり細かいところまでは思い出せませんが、催眠状態で過去のことを集中して思い出すと、様々な記憶を思い出してくるようになります。
思い出しているときは、ただ思い出すのではなく、ある一時期の楽しかった時のことをあたかも体験しているかのように時間をかけて集中して深く思いだし、そこから連想され湧き出てくる記憶と新鮮な感情を結び付けて思い出すようにするとより効果的です。

催眠誘導でもそうですが、「人に催眠をかけてもらう」というものではなく「自分でかかっていく、なりきっていく」ということが大切です。

例)
例えば、中学校の授業のころ、筆箱の中にあったシャープペンシルを思い出したとします。
普通の日常生活の中なら、あまりそのシャープペンのことから連想して思い出すことはないかもしれません。

催眠状態で集中力が高まっている状態だと、そこから連想する記憶として、
「0.5mm、1mm、0.9mmといった芯の太さがあったな」
「おきにいりのタイプはどういったものだったかな」
「Boxyシリーズが人気だったな」
「そのシャープペンを買った文房具屋さんによく通っていたな。」
「手でくるくると回すのがはやっていてよく自分も練習していたな」
「授業中にやっていて先生にみつかって叱られたこともあったな」
「ノック式じゃなくて振るとボールペンと切り替わるタイプもこのころでていたよな」
というように、次々と記憶が蘇ってくるようになります。

このように、一つのシャープペンだけから、次々と記憶がいろいろと連想されてくるので、当時の自分になりきって、どんな時代だったか、どんなことに感じたり感動していたかを思い出します。
このとき、思い出しても疑うといったことやあれこれ分析したり、ネガティブなことを考えず、ひたすら思いだし感じることが大切です。

そうすることによって、海馬にある過去の記憶と、扁桃体の情動がリンクしたポジティブで良好な情報が視床下部へと伝わり、健康で自律神経も良好であった子供時代の頃の状態にリセットされて精神状態も蘇ってくるようになります。

2.手順

①ゲイジングが終わったら、鈴を床に落とし、電気を消し暗くして下さい。
(真っ暗でなくてもいいですが、目に光が入らない方が効果があがります。)

②すばやく目を閉じ、両手で目を覆い、顔が床に向くくらい腰を前に倒します。
(ただ目を閉じるだけでは効果は低下しますので、必ず目は隠して下さい。 寝ころんでする場合、仰向けでアイマスクをするか、目を手で覆い隠して下さい)

③井戸の底を見つめるように、視点を遠くに向け退行催眠を行います。
50から0まで数字を心の中でカウントし、だんだんと子供時代に戻っていくことを想像します。戻る時代はいつでもいいですが、楽しかった時期を思い出すようにしてください。 音声で実践するときは、音声に従いイメージしてください。 (30分程度)

【補足】

ベッドやソファを使用している方で退行催眠の時、姿勢が苦しい方は、「アイマスク」を使用し星空を眺める感じで仰向けになっても結構です。
椅子を使用している方でも体勢が苦しいようでしたら、床に布団を敷いておいて、そこに寝ころんでもよいでしょう。

④思い出す内容は 感動したこと、好きだったおもちゃ、褒められたこと、楽しかった事、綺麗だと感じたことなど良い感動のある思い出なら何でも結構です。
終わるときは、だんだん現在の自分に戻っていくことを想像しながら0から50まで心の中でカウントして目を開き終了します。

3.練習用音声

イメージングは、子供の頃遊んだおもちゃを思い出します。
退行催眠中、集中していると、忘れていた記憶も思い出すようになります。